調剤室には2,000品目以上の薬が並んでいる
薬を置いている部屋は調剤室といいます。私が働く薬局では、2,000品目以上あります。薬局の規模によって異なりますが、病院前薬局(門前薬局といいます)では遥かに多い4,000品目ほどあります。
そして、一つの薬でも規格(有効成分の量が異なる)も2〜3個あることが大体です。その中から、正確に適切に薬を調剤します。なので、薬局にも得意不得意があります。
患者様が欲しい薬があることが必ずしもあるというわけではないことをご理解いただければと思います。
その時の対応としては、こちらに記載しております。
https://iamakiblog.com/処方箋の期間って4日間だけど、過ぎたらどうした/
お薬の適正管理
薬によって、有効期限があります。大体は、3年ほどで長いですがまれに1年だとか、開封すれば 1ヶ月とかあります。コンビニ等の飲食のようになるべく廃棄を出さないように発注しています。
1箱の中には100錠入っていることが多いのでどうしても残ってしまう端数は廃棄になります。それは当たり前のように薬局の損です。そのような理由もあり、薬局に希望の薬がなくすぐお渡しできない状況はご理解いただけると幸いです。
監査(その人に最適な薬がどうか確認をしている)
一番の私たちの仕事の醍醐味いえるのがここです。急性で薬局を使うなら風邪症状が大半かと思いますが、風邪薬でさえも医師の間違いに気づかず薬を服用してしまうと大変なことになります。
例えば1
緑内障(閉塞隅角)を持つ患者さんが、風邪薬の総合感冒薬PL配合顆粒(セラピナ配合顆粒)を服用すると緑内障が悪化してしまうことがあります。緑内障にも種類があり、閉塞隅角緑内障だとよくないです。
ある時、新規患者である緑内障の患者さんに種類を確認すると『どの種類の緑内障かわからないし、点眼はこれを使っている』と薬剤師の確認で発覚することが大半です。
この時眼科の先生の情報がお薬手帳等でわかれば眼科に連絡しますが、わからない時は風邪薬を処方した内科に確認します。大半は内科の先生も情報の少なさから処方が削除になる場合もありますし、気にしない先生がいることも確かです。
上記の例でよく似たものだとマイスリー(ゾルピデム)も同様なことがいえます。
薬歴という患者さん情報や指導内容を入力する作業があります(これがまた大変)
一人ひとりに行った服薬指導をパソコンに記録を残します。その場にいない人でもあとで確認できるようにしています。患者さんからの問い合わせがあってもそれで話すことができます。すぐにかけるものだと早くて1分ですが、引き継ぎが多くなると5分かかってしまうことがあります。これがまた大変です。よく奥でパソコンをカタカタさせているのはそのせいです。
少し前に薬歴未記入である薬局が業務停止命令されていましたよね。たまると大変なんです。私は2年目で最高300枚ほど薬歴が溜まって記入が終わるまでに5時間ほどかかってしまい一緒に働くスタッフに迷惑をかけてしまいました。
薬歴書く暇がない。見えていない作業がたくさんあるのです。私の同期も500枚くらい溜まっている人がいて(まれですが)一度溜まってしまうと減らすにはなかなか根気が必要になってきています。毎日何人もの患者さんに投薬するのですぐに溜まります。
たくさんの薬を1回分にまとめる一包化
一包化というのは、たくさんの薬を1回分にまとめて服用しやすくするためのものです。
薬を普段から、定期で飲まない方には想像がつかないかと思いますが、老若男女問わず、持病で薬を多数飲んでいる方がいます。やはり高齢者が多いイメージですが。
例えば1
A, B, C, D, E, Fという医薬品があったとします。
A, B, C, D, E 1日2回朝夕食後 1回1錠 30日分
F 1日1回就寝時 1回1錠 30日分
これを1回分ずつまとめると
A, B, C, D, E → 2(/日/回)× 30(日)= 60(包)
F → 1(/日/回)× 30(日)= 30(包)
合計 90包
この一人に対して、90包分を作らなければなりません。薬を集めて、分包して、監査して、時と場合にもよりますが、約30分はかかると思われます。最近ではコロナで受診を控える方も増えて、90日分で出ることも増えました。
患者さんがいないのに調剤室が騒がしいのはこのせいかも知れません。
お薬手帳の大切さを伝えます
薬局に行った際、必ずといっていいほど聞かれませんか?
煩わしいと感じるかたも見えるかもしれませんが、お薬手帳の大切さを伝えればと思います。
今飲んでいる薬を専門家たちが把握できる
手帳は薬剤師に限らず、他の医療従事者も確認します。薬の過去情報は、行った病院と行った薬局に限られています。しかし、必ず毎回その病院と薬局に行くわけではありません。
そこで大切になってくるのがお薬手帳です。今どんな薬を飲んでいて、今回出る薬と一緒に飲んで良いのか確認することができます。お薬をお渡しする時に、今飲んでいる薬を確認すると3割くらいの方の印象ですが、色や形で覚えていることが多く名前は忘れてしまっていることが多いです。
たくさんのお薬を飲んでいる方は特にお薬手帳必需品です。
ちょっとしたコメントを書き込むことで過去の情報を確認できる
お薬手帳は小さいノートなので、薬の情報のシールを貼るだけでなく書き込みができます。
この薬の時はどんな病気だった、どんな症状だった、この薬はよく効いたとかオリジナルのコメントを入れると見返した時すぐわかります。
以前、小さなお子さんを持つお母さんがそのような手帳の活用の方法をされていたので感心しました。また高齢の方も、「よく効いた」「日中に眠気でた」など手帳に書き込みされていてこちらが勉強になりました。忘れないように、シールと一緒に小さなことでも書き込みましょう。
災害があったとき、薬の名前を忘れても大丈夫
地震、台風、家事など自然災害はいつ起きてもおかしくないです。災害が起これば、いつ家に帰れるかわからないですし、毎日薬を飲む必要がある人にとっては、薬がなくなるのではないかと心配です。お薬手帳を作っておけば、避難所へ行くときそれを持っていけば医療チームに渡せば、スムーズにお薬情報を伝えることができます。
電子お薬手帳で、スマホを手帳代わりに使うことができる
今は携帯やスマホを持っているひとが大半です。お薬手帳は重くて持ち歩きたくない人に朗報です。電子版お薬手帳があります。数年前から流行り始めています。自動で薬情報が反映するものもあれば、QRコードで読み込むスタイルだったり、アプリによって異なります。
電子お薬手帳の一覧です。
⇨ https://www.nichiyaku.or.jp/e-okusuri/e-okusuri-02.html
欠点として、アプリを医療従事者に見せなければいけません。スマホを渡すことに抵抗がある人には向いていません。コロナのご時世、気になりますよね….
「手帳持参」によって、次回来局3ヶ月以内ならば少し会計が安くなる
何十年前は、お薬手帳を持参すると管理したということで数十円お会計がプラスされる時代がありました。そのため、手帳の持参率が低く薬局側のメリットがなくなるため、国が持参するとお会計が数十円安くなる制度に変わりました。3割負担の方で、30円安くなります。最近、3ヶ月以内の来局による手帳持参でお会計が変わります。1年前に手帳を持参していても、その日はお会計は変わりません。前回手帳を持参して、その3ヶ月以内に来局するとお会計が変わります。これはどこの保険薬局でも同じことです。
補足:お薬手帳を忘れてきても大丈夫!シールをその場でお渡しします
急な病気でお薬がでて、薬手帳を持っていないこともあり得る話です。その時は、「お薬手帳はお家なのでシールをください」と薬局で言ってくだされば無料でお薬手帳用のシールをお渡しするので、遠慮なく申し付けてください。