大手調剤薬局の新店舗の立ち上げに、管理薬剤師として、奮闘した記事です。新型コロナウイルス感染症が流行する中、調剤薬局で従事しておりました。その経験を残したいと思います。
自分の薬局ではなく、雇われの身として、詳細に記載できない部分が多々あります。その点においては、考慮いただけると幸いです。
色んな経験をさせていただいた会社には感謝いたします。3年目で、管理薬剤師兼店舗責任者を任せていただいたこと、エリアマネージャーや上司にフォローをたくさんしていただいたこと、とても感謝しております。
薬局の規模
・住宅街(子連れ、高齢者が多め)
・クリニックモール内の薬局
・近隣クリニック
メイン:小児科、婦人科、内科、皮膚科
サ ブ:内科、皮膚科、整形、脳神経、耳鼻科、大学病院
新店舗の立ち上げで、管理薬剤師をすると聞いて
新店に携わる機会は少ないので、とてもワクワクしました。このご時世に新店舗をオープンするなんて、強気で攻めてるところ好きだなと思いました。
初めての管理薬剤師で不安がありつつも、自分のカラーの出せる店舗になるように頑張ろうと決意しました。
不安より楽しみの想いが大きかったです。
管理薬剤師として、1ヶ月でやったこと
調剤室の導線の確保
調剤業務がしやすいように、「何をどこに置いて…」など位置を決めました。業務スピードを上げれるように、導線の確保は工夫をしました。
はさみは、調剤室に5ヶ所、強力磁石を使って、元の位置に戻せるようにしました。
小児で、粉・水剤をたくさん使うということで、それぞれの備品を取りやすいようにしました。
Ex)文具、軟膏練り太郎、軟膏ツボ、小児用(スポイト、水剤容器、軽量カップ)
登録が必要な医薬品の申請&e-Learning受講&登録
使う可能性のある医薬品の登録を行いました。医薬品によって、申請方法が異なり、e-Learningの有無もあり、大変でした。対応してくれる製薬メーカーはすぐに連絡がとれたので、比較的スムーズに行うことができました。
Ex) ADHD、ビバンセ、モディオディール
役所への諸々の申請や登録事項の補助
(自立支援の申請などは既にエリアマネージャーがやってくれていました)
ヒヤリハット報告制度の登録
業務内で、ヒヤリハットが起きたときに報告する場所です。
Ex) 疑義照会して処方変更した場合、調剤・監査ミス等
防火防災訓練
これが少し大変で。
近くの消防署へ申請書を提出 → 地域で指定された大きめの消防署デ講習を受けにいく(丸2日間)→ 書類記入 → 近くの消防署へ提出
講習は、分厚い冊子を使って、講義がありました。過去の火事から学んだり、防火防災での建物のルール、消火器の使い方など、学びました。
とても勉強になり、自店舗でスタッフに消火器の使い方のレクチャー、火事が起きたときの対応を話し合いました。
調剤棚の整理、棚番号の作成
調剤棚は、薬効別にまとめました。
先発後発は、棚だと上下に並べ、引き出しだとごちゃまぜです。引き出しは、在庫数が増えれば置けなくなるので、仕切りを細かく作りませんでした。
少しずつ医薬品の在庫が増えていくので、棚の整理を定期的に行いました。棚表をつくり、応援にきてくれたスタッフでも調剤しやすいようにファイルを作りました。
AEDの設置
AED設置に伴い、AEDの講習を受けました。
業務終了後に、スタッフ全員でメーカーの担当者に使い方を教えてもらいました。
AEDのメーカーが色々あるのは初耳で、メーカーによって使い方が若干違うのだなと感じました。
MRさんからの勉強会の実施
挨拶にきてくださっったMRさんが勉強会をしてくださるということで、勉強会の実施を行いました。月に1件はできるように、予定を立てました。
薬の質問をしても回答がスピーディなのは、MRさんさすがだなと思いました。
管理薬剤師の提出書類が多すぎる
次々とくる書類
エリマネに確認しつつ、提出書類をこなしました。急ぎのときは電話し、急ぎでない場合は、書類をPDFにしてメールにて相談をしました。
最初の1ヶ月は、国や製薬メーカー、よくわからない営業の書類がたくさんありました。
処方箋枚数が3ヶ月たっても伸びず、PDCAを回した結果
開局1ヶ月目はなんと、処方箋枚数は1日10枚以内
メインクリニックが、婦人科と小児科でした。
オープンしてすぐは、処方箋枚数が5枚いくかいかない程度でした。
近隣住民は通院している病院すでにあるため、急に切り替えてくれるということはなく、「新しくクリニックができたから行ってみようか」という患者さんが散見されました。
新規患者さんばかりですが、3ヶ月もすれば再来の患者さんが増えてきました。小児科と婦人科の患者さんの再来率は8割ほどでした。
近隣住民の「家が近いからここで薬をもらいたい」という方が、3ヶ月目以降増えてきました。処方が重い方や一包化の方が多いですが。
どうやったら次も来局してもらえるかですが、私がしたことは以下です。
- 新規医薬品の在庫の確保
「ストックしとくので、次もお待ちしてます〜」の声かけも - 欠品を防ぐ
定期的に処方がでる医薬品は多めに発注
もちろん、次回来てくれるであろうと見定めています。医薬品の流通が滞ってはいますが、薬局として、薬が在庫していることが大切だと思っています。
もし、デッドストックになってしまった場合は、消費量の多い薬局へ転出という形で郵送します。これができるのはチェーン店の強みですね!
出荷調整が増え続けるも、GE率85%の達成
コロナ関係なく、出荷調整の薬が増えてきました。
1つのメーカーによる出荷調整で、バタバタと他のメーカーも出荷調整になってしまいます。それは、薬局が医薬品のメーカーを変更するからです。世の中の薬が、いかに膨大な量の薬を流通していることがわかりますね。
そんな中でも、GE率は85%をキープすることができています。これは、来局者のご協力のおかげです。
色んな職種の方と関わって仕事ができていると実感
本当にたくさんの職種の方との関わりで、薬局がオープンできているんだと実感しました。
卸のMSさんは、医療用医薬品では3つの業者にお願いしていました。毎月DIを持ってきてくださったり、様々なニュースや情報を届けてくださりました。
粉や一包化を作る分包機では医療機器メーカーさんとやりとりをします。使い方を教えてくださったり、メンテナンスなど、最初の1ヶ月はよく連絡をとっていました。途中で分包機が動かなくなったりすることが、2・3回ありました。安定して機械を動かすことは、簡単なことではないんだと学びました。
続いて、近隣薬局の薬局管理者さんが挨拶にきてくださいました。小売り・小分け購入などお互いの協力が必要になってきます。お互いの状況も把握できたことは有難いことです。
近隣のクリニックの事務さんなども「よろしくお願いします」と訪問してくださいました。
医療モールの掃除担当の方にも毎月お世話になっていました。
それに、配送業者の方には毎日決まった時間に集荷にきていただき、薬の配送をお願いしておりました。
新型コロナウイルス感染症が流行中、大変だったこと
発熱外来の患者さんに対する対応
なるべく柔軟に対応しようと努力した。発熱外来のあるクリニックと連携して、「患者さんがどうすれば安心して待機できるか」「他の患者さんと接触を減らすことができるか」を考えて実践しました。
発熱外来の対応で、クリニックとの連携がさらに大切だと学びました。
連携がないと、コロナ対応の公費が載ってる処方箋をみてびっくりするのがオチになってしまいます。
新店舗の立ち上げを経験してみて
新店舗立ち上げの貴重な経験をさせてもらって感謝
新店舗の立ち上げの経験は、なかなかできるものではないので、いい経験なりました。毎日仕事大変やけど、頑張ってよかったなと思いました。
薬局業務全般をこなすことができた
オペなし1人薬剤師を2ヶ月も経験して、様々なスキルを身につけることができたのかなと思います。受付〜投薬まで、4組きたときは焦りましたが、今となってはいい思い出です。
オペあり1人薬剤師も何ヶ月もこなすことがあり、全部が自分の責任になるので、プレッシャーももちろん感じましたが、そのおかげが、すべての薬剤師業務は網羅することができたのではないかと思います。
国の要件達成をするためにPDCAを回した
新店舗なので、地域支援体制加算はとれないです。ですが、8項目を少しずつ意識して対応していました。
(引用:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197987.pdf)
新店舗の立ち上げのやりがい
小児から高齢まで様々な患者さんに来局してもらえました。
ほぼ新患ばかりです。2週間ごとにくる方もいるので、再来もちらほら増えてきました。処方箋を持参される方はもちろん、OTCの購入や健康相談で来局される方もみえました。
これは新店舗だからこそ、「薬局が空いているから入りやすい、相談しやすい」というのはあるかもしれないです。
\無料で相談にのるし、色んな話も聞きますよ/
時間的、余裕があるのは今のうちですね。